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2019-12-26

鶴見養護学校<つるみ防災キャンプ2018>でアクティビティ「影絵で楽しい!気持ちボックス」を行いました。(2019.12.26)

昨年に引き続き、神奈川県立鶴見養護学校で行われた鶴見防災キャンプのアクティビティを担当しました!

こととふラボがご一緒させていただくのは、今年で2年目。

鶴見養護学校は、小学部・中学部・高等部まで幅広い児童生徒が在籍しています。初めて会った時は小学生だった生徒も今や中学生になっていたりして、成長を感じました。そして、今年もみんな笑顔で参加してくれました。

今年は「影絵で楽しい!気持ちボックス」というプログラムです。
ダンボールフレームの中に、カラーセロファンや切り紙を糸で垂らして飾り、暗い教室で、懐中電灯で照らし影絵を投影しました。

今や避難所では、みんなが安心していられるようにいろいろと工夫することに、配慮が求められています。
特に障害児は普段から突然の出来事に対応するのが難しい場合があります。災害時に避難所へ行くことが少しでもスムーズになるように、防災キャンプで練習です。アクティビティで楽しかった思い出があれば、きっと避難所へのハードルが下がと考えています。
特に今回は美術教育の「造形遊び」の要素を増やしました。

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<概要>
2018年10月26日(金)
場所:鶴見養護学校食堂/音楽室
時間:16時30分~18時(90分)
参加者:35名、補助教員8名、スタッフ6名

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<アクティビティの様子>
参加者集合は補助の先生たちと一緒に食堂に集合しました。にこにこしている子、少し不安そうな子、最初は「何が始まるんだろう」ってみんなちょっとドキドキです。材料の置いてあるテーブルにグループごとに座ります。

ファシリテーターとスタッフ紹介の後さっそく、ワークショップ内容の説明です。
ゆっくり丁寧に説明していきます。

①セロファンを好きな形に切って、ダンボールフレームの中にぶら下げていきます。補助の先生やスタッフがサポートしますが、自分の好きな形を作ります。
「気持ちボックス」ということで、「元気だから赤い色」と言いながら形を作る子もいました。

▲子どもたちは、どんどん作ります。ふわっとしたセロファンの素材もうまく扱えていました。
▲自分でできることを見つけながら作っていきます。

②ダンボールフレームにある程度ぶら下げたら、フレームとミニライトを持って隣の音楽室へ移動します。
実は音楽室には影絵を移す場所がセッティングしてあります。防災キャンプなのでテントの設置もしてみました。

▲暗い廊下はちょっとドキドキ

③音楽室に入ったら、真っ暗!
最初はミニライトを当てるのも、不安な様子でしたが、ミニライトで照らされた先には色彩が美しく現れて、子どもたちはすぐに夢中になりました。
ライトを当てる角度や近さによって影絵が変化することも楽しんでいました。

お隣の人とボックスを重ねてみたり、二つのライトで一緒に照らしてみたりと、どんどん影絵遊びは工夫されていきました。

まるで光の劇場みたいです。

▲ミニライトで影絵を映します。子どもからも大人からも歓声が上がるほど綺麗でした。
▲みんなの作品を重ねてみたら、もっとおもしろい!

これで終わらないのが、こととふラボのアクティビティ。
子どもたちは音楽室から明るい食堂に戻って、今度は透明シートやモールも加えて、どんどんフレーム内に付け足していきます。

▲透明シートもくちゃくちゃになってもいい!影の出方がおもしろいのです。
▲ダンボールフレームの外だって、面白影絵ができる場所。
▲どんぐりの影も楽しみ。
▲何か物語が生まれているようです。

子どもたちは自分で話を作ったり、好きなものを描いたりしてフレームの中に自分の世界を作り上げていました。
小学生以上の子どもたちなので、「しくみ」もすぐに理解します。自分の作ったものを写したら、あんな世界ができるんだ!ということに目覚めた子達たち多数。

内側だけでなく、フレームの外にも付け足していきます。
例えば色がでなくて影になるものも楽しんでいました。綿はうっすら影。風船はうっすらと色がついて動きが面白い。ビーズのデコボコした影も楽しいです。
透明シートは何枚も重ねることで違った表情を出していました。

▲テントに映し出された自分の作品に自分も入ってしまうというおもしろさ。

テントに大きく写した気持ちボックスに自分の影を重ねている子もいて、作品と表現の探求が行われていました。

フレームの中のシートを手で動かし、作品に動きを持たせた鑑賞を繰り返している子は、まるで自分のシアターを持っているようでした。

▲自分の劇場ではどんなお話を想像しているのでしょうか。

アクティビティの時間はあっという間に終了。
みんなは、次の時間のために、自分の「気持ちボックス」を大切に体育館へ持ち帰りしました。
体育館は今夜の食事と宿泊の場所です。

そこで素敵なことが起こりました。なんと、体育館で食事の時間に児童生徒が自分の作品を自主的に体育館ステージに集めてくれたのです。

平均台の上に並んだ気持ちボックスたち、圧巻です。そして先生が舞台用の間接照明を出してくれて、自分たちのライトでも照らしながら、みんなの作品でひとつの大きな影絵を作り出して遊びました。

その周りでスタッフや保護者と対話しながら一緒に鑑賞。

▲みんなの作品が体育館のステージに並びました。
▲並べる場所も自分たちで決めていました。

そこには「アートのある避難所」が現れました。「表現できることが素晴らしい」から、「美術を通しての教育」に幅が広がったようです。
そこに生まれる空気感や関係性をともに作り出すことは、災害に合った時に一番難しいことなのではと思います。子どもたちの表現から生まれたその「場」がとても愛おしかったです。「物」から「もの」へ。「物」から「こと」へ。防災キャンプのアクティビィに美術の可能性が詰まっていました。
みんなありがとう〜!

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この日、スタッフで来てくれた方々は美術の対話型鑑賞のプロや、ワークショップデザイナー、自衛官、現場監督、アーティストのみなさん。

この日はスタッフ数名もちゃんと宿泊します。
なんだかもうプロばっかりなので、作品を鑑賞する時もとても安心しておまかせできました!ダンボールベッド作成も早い!テント立てるのも早い!

スタッフのみなさんありがとう〜!

▲災害時に本当にいてほしい頼りになる人たち
▲「定規の使い方はこう!」、「はい。現場監督!」
▲しっかりとした家が建つ。

今回は、子ども達と一緒に光や素材を探求できたアクティビティとなりました。

災害時に障害者とその家族が安心して過ごせる避難所に、アートの力が役に立つのではないかという思いを新たにしたこととふラボでした。

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*ご協力いただいた鶴見養護学校の校長先生はじめ、教員のみなさま、保護者のみなさまに感謝いたします。
また、ボランティアスタッフで駆けつけてくださった塩月さん、堀谷さん、田上さん、白山さん、丸茂さんにも感謝いたします。
*本企画運営にはアーティストの田中令さんにご協力いただきました。ありがとうございました。